Simple life*

見たこと聞こえたこと感じたこと思うまま

小さな人から学んだこと

新しい命が”人”として我が家にやってきました。
妊婦時代に重い体を必死に持ち上げて家の中を大掃除して、
小さい服やら何やらを洗濯して整理して・・・
予定日の6月16日までに!と準備をすすめていた。
大方完成したのは、6月頭。
準備万端だよー、と一息ついたのもつかの間、
8日にはわたしのお腹から”人”が出てきました。

やっと見ることができた。
エコーで見ていた宇宙人のような顔・・・ではなくきれいな人の顔。
お腹を挟んで触っていた小さな手と足。
決して聞くことのできなかった声。
本当に愛おしくて、「母になった」という実感よりか、
「大切なものが増えた」という感動が胸にこみ上げた。

5日間の入院を経て、家に帰る。久しぶり。
そこには、これまで開けられることのなかった小さな服たちのクローゼット、
一度も使われることのなかった布おむつたち、
誰も寝たことのない小さなベッドたちが何も言わず、ただただそこにいた。
それだけでなんとも言えない安心感を得た。
わたしは腕の中にいるちいさな人をそのベッドに寝かせる。
その瞬間、不思議な感覚に襲われた。
家族が1人増えたよ。という事実。
だけど、本当はこの家に引っ越した時から3人暮らしだった。
ずっとずーっと、この人はわたしのお腹の中にいた。
話すことはないけれど、お腹の中でわたしたちと同じ時を過ごし、
彼女なりのペースで成長してくれていた。
ベッドや服の準備も本当は2人でやってたんだよね。
小さなベッドに眠る、小さな人を見ながら不思議な感動に浸っていた。

わたしは出産をしたら、『家族のために生きる』ということを決めていた。
だけど、自分にできるだろうか、と少し不安もあった。
今まで自分1人で好きなように生きて来たし
誰かのために生きるなんてことが想像できなかったから・・・
今、この小さな人を見ていると、その不安は無駄だったと思う。
もし『家族のために生きる』ということを決めていなかったとしても
わたしはその選択をしていただろうと思うから。
”『家族のために生きる』ということを決めたから家族のために生きるんだ”
ではなく、
”家族のために生きたいから家族のために生きるんだ”
なんだ。
この人を守りたい、何かあったら助けたい、わたしにできることはやってあげたい
そんな気持ちがいくつもいくつも浮かび上がってくる。
まさに「大切なものが増えた」ということ。

大切なものが増えたということは、失う恐怖も増えたということ。
喜びと悲しみは背中合わせ。
必ず同時にやってくる。
その悲しさを背負ってでもこの喜びは手に入れてよかったと思える。
というか、それが”生きる”ってことだとおもう。
幸せな人生には、不幸が付きもの。
それはみんな一緒で、その人自身がどこに視点を当てて見るか、
どこに比重を置くかで、人生の捉え方が変わるんだろう。

とにもかくにも、わたしはこの小さな人にたくさんのことを学びました。
きっとこれからもたくさんのことを学ばせられるんだろう。
うれしいことも悲しいことも辛いことも笑えることも
いろんな時を共にして、お互いに成長していくこと
それが今の何よりのたのしみです。